詩人のノーマン・モンローさんは、多才。ジャーナリストの豊富な経験とともに現在は英語の教師


詩の朗読中のモンローさん

 「詩はどこでもできる。インスピレーションがわいてきたら、電車の中でも、ノートブックメモパッドに書き留めておくんです」

お母さんはTeacher’s collegeを卒業して学校の先生をしながら、6人の子供を育てた。兄、姉も先生。教育界一家で育ったモンローさんは、母がクラレンドン・カレッジで(CC)教えていて、兄弟はみな母親に教わったけれどなぜか自分は教わらなかったそうだ。

ジャマイカの現状をいうと、大学を卒業した先生たちは、みな優秀だけれど、物価があがるのに給料があがらない故にアメリカ、イギリス、カナダを目指して、流出が盛んなのだそうだ。

モンローさんはジャマイカのUniversity of West Indiesでは、マスコミュニケーションを勉強した後、Jamaica Information Service、放送局、2大新聞社“Gleaner”と“Observer”に勤務した。

ジャマイカには上記の2大新聞社がある。「Gleaner は西半球で一番古いが、Observerは2番手で25年ぐらい前にできた。ホテルグループのサンダルズのオーナー、ブッチ・スチュアート氏が出資しているけれど、編集サイドにいっさい口をださない」

モンローさんがジャーナリズムの現場を離れた理由は、新しい体験をしたいと思ったのとジャマイカのメディア業界は給料が安かったからなのだそうだ。そして、JETプログラムに応募。日本にやってきたのは2003年。その時は、日本の事はほとんど知らなかったし、日本語も“アリガトウ、サヨナラ”ぐらいしか話せなかったけれど、のちに日本語はコミックで学んだそうだ。最初の赴任地は宮崎市。そこには、各国からのJETの英語補助教員がいて、彼らとの集まりや地域のお祭り、ドラゴン・ボート・レースやカラオケなど、参加しようと思えば、何かしらイベントがあり、いつでも誰かと一緒にいる毎日を過ごして飽きなかったのだそうだ。海、気候、自然、過ごし易い環境は生まれ故郷のClarendonのchapeltonにどこか似ていて3年もいた。

現在は神田外語学院と東海大学で英語の先生をしている。教師をして思うことは「一般的に言って日本人は、外の事をあまり考えない。つまり世界の一部と思っていない。自分たちは離れた惑星に住んでいるような感じ。そして、日本は偉大だと思っている部分もあると同時にある種の劣等感ももっている。特にアメリカに対して。全体的にはガンコで融通性がないようにも見える」と言葉を選びながら、ゆっくりと応えてくれた。

ジャマイカにいる時はマスコミ界にどっぷりつかり充実していたので、今でもニュースは気になり“newspongee”なのだそうだ。つまりニュースを常に吸収するそうだ。日本で、今、何が起きているのか、ジャマイカでは、世界ではといつもニュースには興味をもっているけれどTVは時間の無駄だから見ない。Japan Times,NHKもみなon line で、読んでいる。

詩人であるモンローさんにパトワ語の事を聞いてみた。「言語として誇りに思うし、文化として滅びないと思う。自分はパトワを〇〇弁をとしてとらえている。大阪弁について教科書があるわけではないでしょ。しかし、国ではパトワを公用語としてもっと尊重されるべきだという意見もある。レゲエ・アーティストはパトワを世界的にしたのは、すごいことだ。国の一部の偏見だが、パトワしか話せないのは下層階級者とみるのは間違い。誰にもパトワが認識されて、下にみられないように、英語もパトワも同じようにリスペクトされることが必要だと思う」

日本で生活していて気になったこと。「電車の中では、空いていても黒人のそばに座らない。特に老人は立ち去ってしまう。クラブなどでも“ no foreigners”と張り紙があるところもあるし。それに教育界の給料体制も外国人向け用には作られてない。」それは、多くの大学で外国人非常勤講師(つまりパートタイム)が語学に限らず講義を担っているのも事実で、外国人差別ではないし、個々の条件や契約にもよるものではないだろうか。

だけど、日本は安全だし、人々は親切。詩を作っている仲間と詩の朗読会を開いた事もあったし、その間に“Musing 1.2.3”を出版できた事は、最もうれしかった出来事のひとつになるという。

10年近く前になるが、筆者はモンローさんたちのグループの詩の朗読会を聴きに行ったことがあった。実は詩の朗読を英語で聞いても半分もわからなかった。でも、モンローさんのバリトンの声は暖かく響き、聴いていた人々を魅了した事だけは覚えている。聴衆は惜しみない拍手を送っていた。
「詩の朗読は、脳からダイレクトに声にして伝える。自分が作った詩を自分の声で伝えるのだからリハーサルなんて必要ない。俳優は、役を演じるけれど、詩人は声だけで自分を表現する」と詩の朗読に対する思いを熱く語った。

人生の後半にさしかかり、これからどこに住むかはまだ決めてないけれど「目標としては、SF小説を書きたいね。ジャマイカン・サイエンス・フィクション」
詩だけでなくストーリーを書く事が好きなのだそうだ。

そして、モンローさんの多才さを語るもので欠かせないもの。スイーツだ。在日ジャマイカンの間で評判のモンローさんのスイーツは、Sweet Jamaican things として、今ではネット販売もしているのだ。次回、ジャマイカン・パーティを開催する時には、モンローさんのスイーツをトライしてみたい。

コンタクト

https://sweetjamaicanthings.com/
Email:munroen2000@yahoo.com


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