インターネットを武器にレゲエの楽しさを伝えるフリーランス・ライター


レゲエ愛から発展してフリーランス・ライターに

  「僕は大阪・岸和田市の出身ですが、大学生だった頃、地元でレゲエが大流行していて、走っている車からは大音響でレゲエが流れてくる時代だった」と現在46才の北野さんは、熱く語り始めた。出身地の岸和田には「だんじり祭り」という有名な祭りがあり「腹に響く太鼓が、ダンスホールレゲエに通じるものがあったのではないか」と思っているのだそうだ。1980年後半から1990年代の頃は、西は泉州のレゲエ、東は横浜のレゲエといった流行があった。

ジャマイカ発祥のレゲエは、歌詞が社会、政治、物質主義などに対する批判や反抗をテーマとしてものが多いが、日々の生活を題材にしたり、男女の愛を歌ったり、コミカルなものもあり、大きくわけるとルーツレゲエ(硬派な歌詞)とダンスホールレゲエ(くだけた歌詞)に分けられる。

北野さんは、1997年アルバイトで貯めたお金でジャマイカ初訪問。「ジャマイカは島中レゲエ一色。隅から隅までレゲエという事が衝撃でしたね。例えば、ビーチでのコンサートでは普通に有名アーティストが参加していて、マ―シャ・グリフィスと握手できたりして感激しましたよ。ジャマイカは、思っていた以上に島にレゲエが溢れていたんです。ジャマイカに行ったおかげで、帰国してからは、一目置かれたり、女の子にモテまくったり、急に人脈が広がりましたね」

大学を卒業して一般企業の営業職に就いたのだが、レゲエへの思いが続いていて、休みをもらって2度目のジャマイカへ。そこで、またレゲエ愛に火がついた。「どうしても、レゲエに関わる事を仕事にしたい。だけど、サウンドマンやDJを目指せるわけでもないし・・・」。考えぬいて、レゲエとジャマイカ情報の専門ブログ≪Yellow Jamaica≫ を2004年に一人で立ち上げた。会社勤務を続けながら、ジャマイカからの情報を辞書を片手に翻訳して毎日、毎日ブログを更新し続けた。結果人気のブログに成長した。2年後、会社勤務とブログ更新の両立がむずかしくなり「よし、ブログに専念するぞ!」と意気ごんだ矢先、レゲエ専門の会社ROCKERS  ISLANDの誘いを受け入社。大阪から東京へと移り住んだ。そこで、ダンスホールレゲエ専門サイトの編集長になった。北野さんは、プレイヤーではなく、レゲエの面白さを人々に伝える側が本職だと言い切っている。

レゲエの面白さとは?「生きていく上で、きれいごとを言わないズバッとしたメッセージがあるんです」とますます熱をおびてくる。

2014 年、第一子をもうけた北野さんは、「わが子を育てながら、気づいたのですが、レゲエは育児書でした」と言った。レゲエ音痴の筆者は、どういう意味なのかにわかには信じられなかった。「例えば、ダンスホール系のクリストファー・マーティンが歌っている歌詞の中に、哲学があるんです。息子に将来、何になりたいんだと父親が聞いたら、お父さんみたいになりたいと息子が応えて、お母さんを決して怒ったりしないし、と続いてありふれた日常の中から人間の本質を学べる。ぐっとくるメッセージが多く含まれているんです。父親としてどうあるべきか、夫婦関係をうまく保つにはどうすればいいのかなど、レゲエから得たヒントはいっぱいあるんです」

それを軸に北野さんは「子育て」もまた仕事にしてしまった。

結果、現在は『パパやる(https://papayaru.com)』のサイトを運営中。実際に北野さんは、息子さんの鼓太郎くんにミルクをあげたり、おむつを変えたり、保育園選びから、毎日の送り迎えをしたりしてリアルタイムで報告しつつ、しんまいお父さんの目線で日常の問題をとりあげていて、人気サイトのひとつになっている。

音楽としてのレゲエ、インターネット、ライティング、英語とどれも学校で専門に学んだわけではないけれど、北野さんは興味を持ったものを繋ぎあわせてとことん実践した。先を見る目は天才的だったが、それなりに努力は惜しまなかったに違いない。
レゲエやジャマイカを仕事にしたい人たちへのアドバイスを聞いてみた。
「ボクの場合、インターネットで情報を発信するポジションがたまたま空いていた。現在のようにまだインターネットで発信するひとが多くなかった時代でもあったけれど。今ならYou Tuberなどいいんじゃないでしょうか」

すべては、レゲエに対する情熱から始まったが、現在はレゲエを土台にして執筆依頼も多岐にわたっているそうだ。

いまは1990年代のようなレゲエブームではないし衰退したとも言われているけれど、「レゲエにしかないメッセージがあるので、一生つきあえる音楽だと自分は思っている。それぞれのライフ・ステージにあった曲があるので一生のパートナーとしてレゲエとつきあって欲しいです。レゲエはすべての事を教えてくれると言ってもいい。生きていく上に本質をついている歌詞がいっぱいあるし、哲学的なんです」。

これからもレゲエの奥深さを広げていって欲しい。

コンタクト先:

お問い合わせフォーム:男性視線の子育てサイト「パパやる」
Twitter(@KeitaroKitano)
https://twitter.com/KeitaroKitano

フリーランスの働き方「Swingin’ Thinkin’」


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